009

 
 

(有)アランジ アロンゾ
アランジ アロンゾ




2001年 角川書店


なんかここまで古い本ばっかり持ち出してきてるので、少しはもっと最近の本でいいなあと思うものも書いておかねば〜と、思ったのですが・・・、「普通にいいなあ」くらいの本はあっても「すっげえいいなあ」という新刊本にはなかなか巡り会えていませんのです。読書量もめっきり減ってますし、犬の怠慢でもあるのですが、新聞の書評なんかでも犬的に気になる本を見つけるのが難しいです。今ってそういう時期かな?って感じで気にもしてないんですけどね。
で、今回の本は昨年の暮れに発行された「比較的」新しいものです。


「アランジアロンゾ」という名前は、カワイイもの好き、キャラクターもの好き、雑貨好きの方々には浸透しまくってますよね。その名前を知らなくても、あの特異な雰囲気のイラストはきっとどこかで見かけたことがあるはず・・。
この本は、関西の二人姉妹が設立した、オリジナルキャラクターイラストを使ってさまざまな雑貨を作り続ける「有限会社アランジアロンゾ」の1991年から2001年までの10年間の、いわゆる社史であり作った商品全ての記録帳であります。と、いっても写真とイラスト満載で文章はちょっぴり。しかも描かれるキャラ同様かなり力の抜けた文章なんで、あっという間に楽しく面白く読めるステキな本なんですけどね。


この脱力系の文章とかわいいイラストにだまされちゃいけません。これは、なにわ商人のど根性サクセスストーリー。
「会社をつくろう」と思って会社を作った当初から一貫して、彼女たちは「いいもん作って一生懸命売ろう」と思っていて、そして10年間いいもんを作り一生懸命売った・・・。
これが、どれだけスゴイことか!語るは易し、しかしこの本に収録された彼女たちの仕事の量を見れば、「いいもんつくって一生懸命売る」ことの意味の深淵さがヒシヒシと伝わってきて、なんだか鳥肌がたってくるのです。


彼女たち、どんなに雑事に忙殺されようとも新しいものを作る意欲は衰えを知らず、しかも内容について妥協しません。
作ったものを心から愛していて、たくさんの人々にも愛されるようものすごい努力をします。販促に手を抜きません。
あらゆるアイデアを実現させる努力をしてます。非情なリストラだって敢行します。持てる体力をふりしぼり、なんでも自分たちでやっていきます。


最近ではネット上に個人的にお店を作って、簡単に手作り作品等を売ることもできるようになりましたが、「商売」としてやっていくにはまず「商売に関する一貫した心構え」が半端なものじゃイカンのですよ。なんで彼女たちのこの本が書店のビジネスコーナーに平積みされないのかフシギです。
だって有限会社アランジアロンゾは、この不況の時代に設立からたったの10年で大阪の中心部に自社ビルを建てちまったんだよ?しかも設計は安藤忠雄だよ?(安藤事務所の電話番号をハローダイヤルできいて設計を頼んだんだってさ。大胆!)


起業人育成とか成功のノウハウとかの文句が踊るビジネス本なんかより、よっぽど商売をすることの本質を「これでもか」と見せてくれる本です。
いやー、商売は生半可ではできまへんでー。



「アランジ アロンゾ」のネットショップも手抜きなし!
-アランジネット-




書斎のもくじへもどる


このページのトップへ / まうごてんのもくじへ