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THE ARCHITECTURE OF
LUIS BARRAGAN
Emilio Ambasz




ルイス・バラガンの建築
監修:エミリオ・アンバース
1976年 The Museum of Modern Art(洋書)


まうご犬が一番好きな建築家はルイス・バラガンです。
・・なーんて、一介の市井の駄犬が胸を張って発言してもしょうがないっすね。1976年にニューヨーク近代美術館でバラガンが展覧会を催した時に、会場で販売するカタログ本として制作されたこの建築作品集、ちょっとしたアート写真集としてパラパラとめくってみるだけでも、かなりのインパクトがあるんじゃないかと思いますので紹介をば。


ルイス・バラガンは、1902年メキシコはグアダラハラ生まれの建築家です。1988年に86歳で亡くなられました。
詳しい学歴や経歴、建築設計における受賞歴などはまうご犬はよく知りませんが、他に類を見ない、その特異な建築に対する哲学ちゅーか、考え方、実践の仕方は、世界中から評価されている有名なお方です。特に日本の建築家たちの評価は高いと思います。なんでか?
超絶的な「静」、徹底的に計算された「陰陽」、空間要素としての「水」。究極のストイシズムとでも言いましょうか・・、実に日本人に好かれるキーワードが多いからでしょうね。
そしてもうひとつのバラガン的要素、「色彩」。
匂い立つようなブーゲンビリアの濃いピンク色の壁は、メキシコの濃い青空の下、バラガンによって綿密に構成され、なんら違和感なく自然に溶けこんでいます。すごいよー。
色の種類は違うけれど、その土地の風土に習う色彩で建築を包むという考え方は日本にも昔からあるもんね。色彩についても理解しやすいと思います。
そういったバラガンの建築の魅力を余すことなく詰め込んだのが、このアンバース監修の写真集です。


そんな日本で人気のあるバラガンの建築のこと、他に独自に日本でも分厚い写真集が出版されてたり、雑誌にも特集を組まれたりする機会も多いのだけど、これがどうも・・。うーん、建築やデザインの資料としてはいい(美しく、鮮明で、忠実な)写真なんだけど、なんかアンバースの本に比べて「よその国のよその建築物」にしか見えないのがどうもフシギ。同じ建物を似たような角度から撮影してても。なんでだろう?
・・・「監修・エミリオ・アンバース」、これがまたくせ者。
アンバースも世界的に有名な建築家で、家具デザイナーで、都市計画屋さんです。(ちょっと大きめのオフィスでやたらよく見かける「バーテブラチェア」のデザイナーはアンバースです。)
アンバースの視線による本の構成こそが、バラガンの建築をよりいっそう神秘的にみせてくれてたのかー!と、他の人の監修した写真集を見て初めてわかったのでした。
なんとも絶妙な組み合わせなのです。バラガンとアンバース。

そんな二人の仕事がこの一つの本に詰まっている・・、
「完璧。」…そういう他に表現できない写真集です。
これはまうご犬にとって最高級のとっておきの絵本です。
静かなところで、気を楽にして、写真に閉じこめられた空間を頭の中に再構成してみる・・、それはもうこの世のものとは思えない世界が見えてきます。
・・・絵本として、こんな風に読んでますの。
まあ、こういうのもアリ、よね。へへ。


東京都現代美術館で、「ルイス・バラガン 静かなる革命」展
(2002年4月20日〜7月14日)が、開催されていたそうです。
会場構成は安藤忠雄だったらしい・・。
ちぇーっ、こういうの、いつも東京だけなのがクヤシいヨっ。


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