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不死テクノロジー
-科学がSFを超える日-
エド・レジス
訳:大貫昌子



原題
「Great Mambo Chicken and Transhuman Condition
 -Science Slightly Over the Edge-」1993年 工作舎

邦題はなんだか少しカタイけど、原題がなんたって「グレート マンボ チキン」だから、もう本屋でこれを手に取ったときから
ウヘヘ…だったのですが、読み始めたら爆笑の連続で、500頁あまりの分厚さなのに残り頁が減っていくのがとてもつらい、
まうご犬好みの、楽しい楽しいイカれた本です。

盛りだくさんの目次を見るだけでも、わくわく。
「寄せ集めロケットで宇宙へ行こう!」
「アリゾナのハイテクスーパー爆弾カップル」
「首が飛ぶぞ-恐怖と希望のクライオニクス」
「重力を飼いならす」…などなど、ここには書ききれないほど笑える見出しがいっぱい!でも、笑えないのよー、本気なのよー、がんばってるのよー!実現だってするかもなのよー!!

著者のエド・レジスは「アインシュタインの部屋」で、アメリカでも日本でもベストセラー作家になった、哲学博士。面白おかしく様々な分野の科学者たち(マッドサイエンティストだな)を描写しています。彼ら科学者たちは皆、人並み外れた好奇心の持ち主で、その興味の対象に向かってまっしぐらに押して押して押しまくり、傲慢を超え神の領域を超え、宇宙の彼方まで突っ走って行きます。もちろん、そこにともなう難しい数式や物理法則など犬には理解できませんが、彼らの突飛なアイデアや命がけの行動力やロマン(…かなあ?)に、どんどん惹かれていって、狂気の世界も夢の世界もなんだかすっかり自分のものになったような気にさせてくれるのです。ものすごい元気を与えてくれる本です。身の回りの少々の不愉快など、てんでどーでもいいことになってしまうのです。

サイエンス関係の本は、現実の科学の発展のスピードについていけず、あっという間に色あせた古い古い話になりがちです。この本もアメリカでの発行は1990年だから、最先端科学ドキュメントとしての価値はもうありません。ナノテクの話も当時はスゴイスゴイと笑っていたけど、今や常識。96年にはあの羊のドリーもつくられてしまいました。
それでも、時々この本を取り出してパラパラと拾い読みすることがあります。人間であることの意味や生きていくエネルギーが詰まってる感じがするのです。おーげさ?
大貫さんの訳は小気味がよくて(どーせ原文は知らないけど)いい感じです。
21世紀になって、世の中なんだかいろいろ閉塞してきて、人間もちまちましたのが増えてるみたいだし、今後もう一度こんな本に出会うことができるかどうか…。ふう。
ちょっと不安になってきたので、またこの「不死テク」の目次でも読んで元気になろー!



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