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草の日々、藁の日々
R.A.ラファティ


原題 「Days of Grass, Days of Straw 」
「どろぼう熊の惑星」(ハヤカワ文庫)の中の短編。

ラファティの代表作といえば、粒ぞろいの短編集「九百人のお祖母さん」(ハヤカワ文庫)に間違いないのだけど、でも一番好きな話はどれかと考えると、どうしてもこれになってしまう。だけどとにかく無茶苦茶だし、挿入された詩もわけわかんないし、アイリッシュユーモアも日本語訳じゃ意味不明だし、変に理屈っぽいし。退屈な日常をふと抜け出して「草の日」を楽しもうって話なんだろうけど、その「草の日」を勝ち取るには高い山を登っていって山頂でレスリングをしなくちゃならない。で、犠牲者の首が山頂から落ちてきてはじめて「草の日」が始まる…。普通の世界は常に奇妙な世界と同時進行しているのか…。ああ、でもやっぱりよくわかんないなあ、何度も読んでみたんだけど、何もかもがごちゃまぜで。
だけど、不思議なことにこの話、頭の中で「絵」になるんだなあ。「絵」にしてみると全然問題ない。一枚の紙の上にあらゆる奇妙なものとフツーのものがぎっしり描き込まれているような、極彩色のハデハデな漫画っぽい「絵」。その「絵」がたぶん好きなんだと思う…。自分でも描けたらいいなという絵なんだと思う。
不純粋科学研究所シリーズも大好きだけど、やっぱり「草の日々」がいちばんいいわー。

関連サイト
とりあえず、ラファティ

作品に出てくる食べ物のレシピ集は、私も作りたかったのだけど、やられたっ…。未訳の短編もまだまだたくさんあるのね。ただでさえ沢山いる登場人物があちこちの作品でやたら錯綜するので、キャラクター事典は重宝します。大酒飲みのラファティじいさん、まだ生きているのかしら。長生きしてね。



2002年3月18日にラファティじいさんは亡くなられてしまいました。
もう、あの無茶苦茶な、頭の痛くなるラファティ世界に新しいキャラが
追加されることはありません。犬のココロにすきま風が吹いていきます。
残念です。
しかし、あのラファティじいさんのことです。
ラファティじいさんにとって、この現世で生きたと周りの人間が思う数十年は
きっとたったの「一日」に過ぎないのです。
そして何十年かのち、本格的な食欲がわいてきたら、またもう一日を生きるため
起きあがってくるに違いないのです。
まうご犬はその日までラファティという名を忘れません。


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