かもしかのせいかつ


かもしかの仲間の生活は、おおまかにいうと、〜食べる〜休む〜食べる〜休む〜の
繰り返しです。彼らにとって時間は、ゆーっくりと流れていきます。
まうご犬はそんな彼らの生活に惹かれ、大変興味がありますが、ニホンカモシカ以外のかもしかたちの生活状況・食性などは調査・研究とも大きく立ち遅れているようで、なかなか資料に巡り会えません。特にゴーラルなど。
ここでは主にニホンカモシカの生活ぶりについて、みてみましょう。



ニホンカモシカの一日
単調な毎日を繰り返します
でも、そこがいいのよね


ニホンカモシカは日の出とともに起き出して行動を始めます。夏場は午前4時頃から、冬場は午前7時頃からスタートです。

-朝-
まず、ねぐらを出ると糞をします。毎日同じ場所にため糞をします。
そのあと、採食。なわばり内を歩く道すがら、草や木の葉などを食べる「採食歩行」と、立ち止まってそこにある植物を集中的に食べる「採食」をします。移動のついでに立木で角とぎして臭いをこすりつけながら、だいたい午前9時ごろまで採食します。なわばりの中には水場があり、食後はたっぷり水を飲みます。
夏はなわばりの中のかなり遠いところまでも歩いて行きます。


-昼-
おなかがいっぱいになったら、「反芻」するための場所に行って反芻します。その場所はだいたい決まっていて、なわばりの中でも見晴らしの良い尾根筋や岩場の上や倒木の上などが多いです。立ったままでも反芻しますが、おおかたは座って二時間以上をかけてゆっくりゆっくり反芻します。
真夏は暑いのをいやがって、木陰や岩陰で反芻したり眠ったりで過ごします。…だらだらしたやつらだねー。
幼いこどもは「うたた寝」をします。成長するにつれ、消化しづらいものも食べられるようになり、反芻の時間は増えていきます。
彼らが反芻している時間は観察者にとっては最もつらい時間のようです。

-昼下がり〜夕方-
冬は早めに2時ごろから、夏は日ざしが少しやわらぐ3時ごろから、夕ご飯を「採食」しに動き始めます。
エサ場はだいたいなわばりの中心を占め、ねぐらや休息場所はエサ場をとりまく、なわばりの周辺部にあります。ねぐらの近くには必ず糞場があります。彼らの食べ物は春夏秋冬の季節に従いその場所に自然にあるものなので、生息する地域によっても違うようです。また、個体によって好き嫌いもあるようなので、場所や血統などの調査も必要です。
日が沈むころまでしっかり食べたら、ねぐらに帰ります。
ねぐらは岩場や木の下などで、冬場は決まった場所ですが、夏場は特に決めないで、最後に採食した場所から一番近いねぐらで休むようです。

-夜-
お日様が沈んでしまえば、一日は終了です。
夜の間はねぐらで反芻したり眠ったりしているようです。
夏場は時々夜中に目を覚まして、ねぐら付近のエサを採ったりすることもあるようですが、詳しいことはわかっていません。

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ニホンカモシカの春夏秋冬
これまた単調な一年を繰り返します
でも、雪の多い冬は命がけ!


-春-
ニホンカモシカの春は地面の雪がとけだすことから始まります。 4月の終わりごろ、北の高い山では5月になってやっと春です。
まず雪解けで真っ先に芽を出す植物、フキノトウやギョウジャニンニクなどを食べられるようになり、他の木々や草なども次々に芽吹きはじめ、冬の間の栄養不足を補うように、カモシカたちは目につくエサをどんどん採食していきます。山はごちそうだらけ。 6月にもなれば、冬の間しかたなく食べていた針葉樹などは見向きもしません。
そろそろ夏に備えて、冬毛を落としていきます(換毛)。カモシカの通る道の木の枝に、よく抜けた毛が絡みついていますが、これもなわばりを示すマーキングの役目をしているようです。
前年に生まれ、厳しい冬を無事母カモシカとともに越えた若カモシカは、このころ母にツノで突かれるようになり、母とは別々に採食し始め、やがて新天地を求めて母のなわばりから出ていきます。
早ければ5月、遅くても7月の初めまでに、おとなのメスは1頭(まれに双子)の赤ちゃんを出産します。赤ちゃんは生まれて1〜2時間で立ち上がって歩けるようになりますが、走り回るほど強くはないので、しっかり山を歩けるまで約一ヶ月間は母カモシカとともに、できるだけ安全な森の中などで過ごします。赤ちゃんは母乳と、生後10日位で食べられるようになるやわらかい草を摂取して育ちます。
父カモシカは単独で行動していますが、時々母子の近くに出没し、じっと見守っているようです。


-夏-
赤ちゃんカモシカがちゃんと歩けるようになると、母子は見晴らしの良い崖や岩場のエサ場に出てきます。母は決して子のそばを離れず、子も必死で母のあとを追って、険しい岩場を駆け上っていきます。子カモシカは、生後二ヶ月くらいまで、母乳をせがみます。
暑いのが苦手で、日中は日陰で休んだり、水場である谷間の小川に足を浸して、ぼーっと何時間も過ごしたりしています。


-秋-
山が紅葉で色づき始める頃には、春に生まれた子カモシカもしっかりした体つきに成長し、小さなツノもはえてきます。
春に独立した若カモシカは結婚相手を求めて、自分のなわばり内を歩いて探し回ります。ニホンカモシカはメスもなわばりをもって行動しますが、オスのなわばりとメスのなわばりの重なったところで彼らは出会い、交尾をします。メスに出会ったオスは、前脚でメスのおしりを蹴り上げたり(フォーレッグキッキング)角の前側でメスのわき腹をぐいぐい押したりして、交尾をせまりますが、あまり蹴りが激しいとメスはいやがって逃げ出すこともあります。オスはあきらめずに追いかけ、メスの外陰部のにおいをかいで、首を高く伸ばし唇を外側にまくり上げる「フレーメン」という行動で、メスの発情を促します。そして交尾は「マウンティング(馬乗り)」のかたちで行われます。ニホンカモシカはまれに一夫二妻もありますが、ほとんどは一夫一妻です。交尾期の秋に仲良く一緒に歩いている二頭は夫婦カモシカです。行動圏の重なりが配偶の決め手となるので、オスはなわばり内の侵入者を徹底的に追い出そうとします。争いに敗れたオスは放浪カモシカとして、他のカモシカのなわばりの境界をさまよって細々と採食し、メスを見かけても避ける行動をします。なわばりを持たないオスに繁殖の権利はない、という、きびしいカモシカ社会です。
さて、紅葉真っ盛りの頃になると冬支度もしなければなりません。夏毛の下にはやわらかくて暖かい冬毛がびっしりと生えそろい、エサをたくさん食べて得た栄養を脂肪として毛皮の下に蓄えます。


-冬-
雪が積もり始めると、ニホンカモシカはあまり遠くまで出かけないようになります。ねぐらも雪や風をしのげる場所に固定され、ため糞場は糞の山となります。どんな吹雪の日もエサを採らなくてはなりません。大雪の後などは、雪を前脚でかきわけ、胸まで埋もれながら前進します。子カモシカは、母がかきわけて開いた雪の道をついていきます。
エサは雪に埋もれたササや、高い木の上の枝葉など。ときには木の樹皮なども食べます。ササは雪を掘り出して食べ、木は枝に前脚をかけ、伸び上がって上の方の葉を食べようとします。危険を承知でエサを採ろうとして雪崩に巻き込まれたり、冬の採食は命がけです。子カモシカも必死でエサを探して食べます。冷たい雪の上に座り込んで反芻をします。
冬は行動範囲をせまくして、なるべく無駄な体力を使わないようにしています。このため、母子の近くに父カモシカもいて、3頭で見かけられることも多いです。しかし、足場の悪い雪深い山奥でのカモシカの調査は人間にとって大変困難で、あまり詳細なことはわかっていません。
顔もからだも雪まみれになって、ニホンカモシカたちはじっと春を待ち望んでいます。



* * *
ニホンカモシカの一年を双六にしてみよーかなー
などと、考えております。
しかし、単調すぎて面白くないかなあ?






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