サイガ
鼻がでかい

サイガ
Saiga(英)
Saiga Antilope(独)

《学名》
Saiga Tatarica
Saiga=中央アジアの土語でサイガの意味
tatarica=「ベールを剥いだ」

《亜種と分布》
標高0〜1600mの広大なステップ地域や半砂漠地域に棲む。
Saiga Tatarica tatarica
=ロシアサイガ
=ボルガ川下流地帯から中央アジア
Saiga Tatarica mongolica
=モンゴルサイガ
=モンゴル北西部

《食性》
主にはイネ科草本類、塩分の含まれた草。汁気の多い植物から水分を摂る。

《体格》
大きな下向きの鼻が特徴。
おとなで頭胴長130〜140cm、こどもは約30cm。背までの高さはおとなで約70cm、こどもで約30cm。おとなの体重は約30kg、こどもは約3kg。

《サイガの生活》
サイガは群れをつくって、広大で乾燥した草原や半砂漠で、エサとなる草を求めて季節的に移動をしながら暮らしています。山地や見通しの悪い場所には生息しません。
食料の豊富な場所では群れの規模は大きくなり、特に出産の季節には10万頭を越える数の群れになることもあります。移動する時も大規模な群れになります。
新しいエサ場へは一日に100km以上移動することもあります。川は泳いで渡ります。
メスはオスよりも少し体格は小さく、角がありません。
鼻が大きいのは、酷寒の乾燥した草原に暮らすからです。冷たく乾燥した空気をこの大きな鼻に一度貯め、暖めてから肺に送ることで、肺の負担を軽くするというしくみです。
後角腺や蹄腺、そけい腺から臭いのある分泌液を分泌します。
どこでも散糞をします。
サイガの換毛は、ニホンカモシカやシロカモシカなどがごっそりと毛布のようなかたまり状で抜け落とすのと違って、一本ずつ風に吹かせて抜け飛んでいきます。
1頭のオスに対して5〜10頭のメスのハーレムがつくられ、12月後半から交尾をして、翌年の5月に通常2頭(初産は1頭)のこどもを出産します。他のカモシカたちが普通早くて2歳から繁殖可能なのに較べて、サイガのメスは生まれて7〜8ヶ月で繁殖可能となります。外敵のオオカミの襲撃や、厳しい寒さと豪雪や凍結などの酷な自然環境のなか、サイガは数の減少をその出産能力の高さでカバーしています。
若いメスたちは別に群れをつくって生活します。ハーレムをめぐってオスたちは交尾期に激しく戦います。そのせいか、メスの寿命が10数年なのに対し、オスの寿命は5〜6年と短命です。
1930年代には、人間の狩猟の標的になり、たった約1000頭にまで減少しました。しかしその後の保護活動により、今や200万頭を越えるまで数を増やしました。それでもモンゴル地域では数は少ないままで、モンゴルサイガは絶滅の危機に瀕しています。

日本では、三重県の日本カモシカセンターで3頭が飼育されていたのですが、1994年に最後のオスのロシアンが死んでしまいました。
←お年寄りのサイガのロシアン、ちょっと白っぽいです。
 若いサイガはもっとこい茶色の毛色です。
 普通、野生のサイガの寿命は生息環境の厳しさから
 5〜6年と短命ですが、
 このロシアンはとても長生きしました。

(日本カモシカセンターの絵はがきより)






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