かもしかのからだ


かもしかの仲間はそれぞれ外観も個性的で、住む場所も特殊な地域に限られ、暮らしぶりも少しずつ違います。それは、かもしかたちが太古の昔から存在した動物で、後から現れた新種のウシ科動物に滅ぼされた生き残りだからです。こうした動物たちを遺残動物(レリック)といいます。各地に離れてそれぞれの種類で特殊化してはいますが、出現の時代からあまり変化しない原始的な形質をそのままにしているという特徴があります。そのいくつかの特徴を簡単にみてみましょう。



つの

かもしかの角はシカと違って一生はえかわりません。角は枝分かれしません。かもしかの角にある縞模様をみれば、だいたいの年齢を知ることができます。そして、角はオスにもメスにもあります。だから外観で雄雌を見分けるのは難しいです。木の幹に角をこすりつけるのは、角を鋭くしてライバルとの争い時の武器にする為でもありますが、マーキング(なわばりのしるしつけ)の意味があります。かもしかはみな臭腺(臭う液体を出す場所)を持っていて、そこから液を出して木や地面に角でこすりつけます。角研ぎもマーキングの役目をします。


おとなの角とこどもの角。ちっちゃい角ってかわいーい。

臭腺

なわばり宣言をするために大変重要なものですが、それぞれの種で臭腺の場所は異なります。甘酸っぱいにおいのする液体を分泌します。



眼下腺

蹄腺

後角腺

そけい腺
ニホンカモシカ    
タイワンカモシカ    
シーロー    
シャモア    
ゴーラル    
シロカモシカ    
ジャコウウシ    
ターキン 臭腺は全身に分布
サイガ  
チルー      



かもしかの瞳は横長です。猫の瞳を90度回転したように、瞳孔は上下に大きくなったり小さくなったりします。


横長な瞳も、うーん、しぶいわー…。

かもしかの視力はあまりよいとは思えません。動くものには反応しますが静止しているものに対しては目ざとくはないようです。聴力と嗅覚が視力の弱さを補っているのでしょう。色の識別については検証した資料はないのですが、近縁のヤギについては色の識別ができるということがわかっています。もしかしたらかもしかも識別できるかもしれません。



上の前歯はありません。1.5歳まで乳歯で、その後にはえかわった永久歯は一生そのままで、年をとればすり減ってしまいます。上前歯がないので、下前歯と上歯茎で食物を引きちぎって押し潰したり、奥歯で噛み切ったりしてたべます。



かもしかの胃は4つの部屋に分かれています。これはかもしかの属するウシ科の他にシカ科の特徴でもあります。
4つの胃のうち第1胃から第3胃までは食道が変化したもので、本当の胃は第4胃です。
第1胃は反芻胃(ルーメン)といって最も大きく胃全体の八割の大きさです。食べた植物は一時的にここに溜まり、この胃のなかに生息する何種類もの微生物による発酵で、人間など単胃生物の消化酵素では分解できないセルロース(繊維素)を分解するのです。植物はまだ大きなままで第2胃に送られます。
第2胃は内壁に蜂の巣のようなひだがあるので蜂の巣胃と呼ばれます。ここは水分が第1胃よりも少なく、大きめの植物はここからまた食道を逆流して口の中に戻され、再びもぐもぐと咀嚼されるのです。これを「反芻」といいます。、反芻は何度も繰り返され、植物が十分に小さくなったらやっと第3胃に通されます。
第3胃は複雑な構造をしていて葉胃とよばれます。焼き肉屋さんで「センマイ」と呼ばれているものがこれです。ここで水分を吸収します。そして植物は遂に本当の胃である第4胃に送られ、晴れて消化・吸収が始まるのです。ああ、長旅だった。
かもしかの胃は、ウシ200P、ヤギ25Pなのに較べてわずか5P(ニホンカモシカ)と小さいため、消化しきれない食べ物を嘔吐する急性胃腸炎になりやすく、なるべく少量で、かつ栄養価の高い食べ物をたべなければなりません。

換毛

暖かい春が来て、冬の寒い間まとっていた分厚い冬毛を抜き落とすことをいいます。抜け方は種によってちがいますが、換毛するということはかもしかにとってものすごい体力を使うことなのです。見た目にはボロ毛布をからだにかけているようで印象悪いかもしれませんが、がんばっているのです。元気の証と見てあげてください。


換毛中なのに、雨上がりに砂浴びしちゃったよー、どろどろー。



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