世界のかもしかNEWS
2003年2月7日

◆ ヒツジの年=カモシカの年?
2003年は12年に一度のヒツジの年であります。
十二支の中に偶蹄目の動物の占める割合は25%(うし・ひつじ・いのしし)と
他の種目の動物よりも多いですね、うほほ。(…失礼、偶蹄目好きなもんで)
それだけウシ・ヒツジなどの動物は十二支という年の象徴を持つアジアの国々の間で親しまれているということでしょうか。

さて、本サイト「まうごてん」におきまして、「カモシカ10種」と言っている動物たちの中にはたくさんの「別名」とか「通称」とかを持つ動物が多いのにお気づきですよね?シロカモシカは「シロイワヤギ」だったり、チルーは「チベットレイヨウ」と呼ばれたり。ジャコウウシなんて最初から「ウシ」なんて名前がついていて、「何でカモシカの仲間??」等と思われることもあるでしょう。
形態もそれぞれ個性的で、どういう分類でカモシカの仲間とくくっているのかわかりづらいと思います。
…実はこの問題はとてもビミョーでムズカシイのです。動物の分類学の世界は日々進歩していますが、学者さんたちのそれぞれの見解によって多少の誤差があったり、いまだ説明できない複合した特徴があったりと、「決定版」的な論拠には至っていません。最近はDNAサンプルによる新しい資料も作られているようで、近い将来には全く違ったカテゴリーにカモシカたちも分類しなおされる可能性もあります。なんとも足元がユルい感じの動物ですな。(まうごてんでのカモシカの定義は「偶蹄目ウシ科の8属10種」としています。詳しくはこちらへ)

長々と前置きいたしました。
何を言いたかったかと申しますと、学術世界を離れた民間において「ヒツジ」という動物の分類の境界線もかなりビミョーかな、と。
香港にて、旧正月を祝う装飾オブジェを見ながら感じたのでした。
↓香港・タイムズスクエアのヒツジの飾り物
上の写真にある三種類はいずれも「羊」と見なされているようです。
それぞれを特徴づけるツノに注目してみると、左の像のツノは「うずまき型」でごく一般的なヒツジのツノの形です。中央の像のツノは「らせん型」。このタイプのツノを持つのはアフリカに生息するレイヨウの仲間たちです。右の像のツノはまっすぐ後方に向かって伸びるタイプですが、アゴヒゲや尾の長さも考慮すると、ヤギの類の形です。
つまり、レイヨウもヤギも「羊」として飾ってあるわけです。
中国の古典に登場する「羊」の形態も、現在ではとても羊らしからぬ形として記述されたりしていますが、「十二支の未」においても未だ大雑把な分類で表されているみたいですね。「十二支」の本場中国でそうなら、民間ではそれでもいいよなーと、つい思ってしまいました…。で、こんな大きな括り方で「未」を表すことがアリなら、カモシカたちだって今年の干支「未」としてチヤホヤされたっていいじゃん、てなことも思ったりして。
…分類の問題はホントに難しいです。


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